「雪形」は春の雪解け時期に観察できるのですが、その出現時期や期間については、冬の積雪状態や春の融雪状況によって毎年少しずつ違いがあります。今年の北海道は、大陸からの寒気があまり入らず、平年よりも気温の高い冬でした。また、積雪も平年より少ない地域が多く、低気圧の影響で雨が降ることもありました。そして、3月以降の雪解け時期には、気温が平年よりかなり高く経過しました。4月下旬以降は晴れる日が多く、気温も高かったため、急速に雪解けが進んだようです。それに伴い、雪形の出現時期は、例年よりも1週間から10日ほど早かったと分析しています。
今年の雪形フォトコンテストは、昨年の22点から倍増して、計45点もの応募作品が集まりました。応募の数が増えたのは、おそらく新聞紙上で雪形の記事が掲載されたからだと考えています。 作品の撮影場所については、例年大雪山やニセコ連山が多いのですが、今年は道北の利尻山、道東の羅臼岳などで撮影した作品もあり、道内各地から集まりました。今年の作品の特徴としては、形がはっきりわかるというよりも、独創的な形のものが多く、審査員を悩ませる作品が多々ありました。さらに、雪形が写真の端の方に写っていて見つけにくかったり、撮影時刻や露出の関係で白黒パターンがぼやけていたりと、雪形を撮影する技術面でもう一歩という作品もありました。一方、すでに地元で知られている伝承的な雪形の出現場所でありながら、撮影時期や撮影場所が違ったりすることにより、新たな雪形を見つけている点は興味深い視点でした。さらに、屋根の残雪模様から雪形を見つけた作品もあり、雪形のスケールを広く捉えたとすれば、“広義の雪形”と言えるかもしれません。
審査においては、雪形の形、着眼点、ネーミング、ストーリー性、写真の構図、解説文、「遊び心」の有無など、様々な観点から審議して受賞者を選びました。今年は、残念ながら最優秀賞は該当作品がありませんでしたが、3点の作品が優秀賞に選ばれました。
今年もユニークな作品を多数応募していただきありがとうございました。これからも雪形の写真を撮り続けると共に、「遊び心」を持って自然を見つめ続けてもらいたいと思います。
審査委員長:山田 高嗣