今年で12回目となる「雪形コンテスト」。今年もユニークな作品が多数寄せられました。
厳選なる審査の結果、残念ながら「最優秀賞」該当作品無し。
優秀賞3作品、審査員賞3作品 計6作品が決定いたしました。
参考サイト >> 国際雪形研究会 URL http://www.yukihaku.net/yukigata
(コメントなし)
留萌神居岩総合公園の東側に連なる里山に出現したちょいと痩せ気味のクジラ。目が妙にリアルで胴体の動きにも躍動感があり、このまま雪原をクネクネと泳いで行きそう。その一方、なんとなくナマズやサンショウウオ、ついでにウナギ犬(赤塚不二夫氏の漫画のキャラ)にも見えるなど、あれこれ想像力を刺激してくれるのも楽しい。
尾根の連なる雄大な山にクジラやシャチを発見する事はたまたま有るけれど、ついつい見落としがちな身近な里山に雄大なクジラを発見したことを評価しました。
審査員:残間 正之
両手に武器を持った戦士がアルパカに向かっていく。
ニセコ連峰のワイスホルンに毎年みられる「白い馬」がちょっと次期を過ぎて、「アルパカ」になったんですね(笑)。
アルパカは、南アメリカ大陸にいるコブのないラクダのような動物ですね。ペルーでしょうか?アルゼンチンでしょうか?戦士は、 ローマ帝国の騎士のような形に見えます。ローマ帝国は、 欧州全体を領土としていたので、南米にわたったスペイン人か、ポルトガル人の兵士が、食用や毛皮をとるために、アルパカを捕まえようとしているのでしょうか?
そんな、日本からみると地球の裏側の国を想像させてくれる雪形とそのネーミングを評価しました。また、同じ場所の雪形でも、次期によって「馬」から「アルパカ」に変わるという楽しみ方を教えてもらいました!。
審査員:原 文宏
島武意海岸から灯台に向かって散策中に向かいの山を見るとラクダが歩いていました。
「日本の渚百選」にも選ばれた積丹半島島武意海岸から見た風景とのことですが、ゆったりと波打つ砂漠ならぬ残雪を行くひとこぶラクダ。向かう先は命をつなぐオアシスか、それとも春の息吹でしょうか。
足下がはっきりしないのは焼けるような熱さからくる陽炎か強烈な砂嵐で霞んでいると思えば納得。個人的に中近東や中央アジアの砂漠地帯を旅する事が多く、当時、ラクダで彷徨った懐かしさもあって審査員賞としました。
審査員:残間 正之
国道沿いの壁面に残った残雪が、男の上半身に似ていた。鼻の頭と口の周りが黒ずんで無精ヒゲのように見えました。
解説文には、国道沿いの壁面を見ていて、男の上半身に見えたとありましたが、道路沿いの残雪まで着目するとは、雪形観察に適した観察眼の持ち主と思われます。人の形に見える残雪模様は多数ありますが、そのほとんどが、白く見える部分と黒く見える部分の境界線を形の輪郭として見ています。この作品で興味深いのは、残雪の白の中でも、少し黒ずんだところに注目した点です。 積雪の表面は降雪がないまま日が経つと、日射や風、付着物などにより、徐々に黒ずんで見えてきます。この作品では、ちょうど黒ずんで見える形をヒゲに見立てた点がユニークであり、素晴らしい着眼点です。雪形は一般的に白黒の2色パターンと考えられていますが、この雪形の場合は「白色・黒色・灰色」の3色パターンと言えるでしょう。
黒ずんで見えるところをヒゲに見立てた着眼点やユニークさ、道路脇の雪まで見ている観察力を評価して、この作品を選定しました。
審査委員長:山田 高嗣
「犬」の字と、それを崖の上で見ている“崖っぷち犬”に見立てました。雪形はネガ型です。
犬の字には苦しいところがありますが(笑)、崖から身を乗り出すようにして、叫び声を上げる犬がハッキリわかりますね。
さらに、「崖っぷち犬」というネーミングにとても惹かれました。昔、四国の方で、崖から降りれなくなった犬の救出劇がテレビ中継されて話題になり、そのときつけられた犬の名前が「崖っぷち犬」でした。あのケースは、犬も衰弱ぎみで弱弱しい感じに見えましたが、この雪形は、とても凛々しいところが気に入りました。崖っぷち犬の少し上には、夜空(ネガ)に三日月(ポジ)が浮かんでおり、その月に向かって、遠吠えをあげているようにも見えますね!
審査員:原 文宏
耳の長いウサギ型の宇宙人の姿を見つけました。 月の住人と思います。
写真中央に大きく残った雪の白い形(ポジ型)を見ると、長い耳が特徴の「ウサギ」の形に見えます。この形を「ウサギ型の宇宙人」と解説文には書いてありました。雪形の名前にはあえてウサギとは言わずに、「住人」と呼ぶところがネーミングセンスの高さを感じました。そして、何と言ってもこの雪形の背景には驚きです。旭岳登山道から見下ろしたのだと思いますが、下方に広がる窪地状の地形や沼がまるで月面上にあるクレーターの様に見えます。雪形の背景を見て、月という場面を設定するとは、素晴らしい想像力です。
わかりやすい形、ネーミングのおもしろさ、背景を含めて考えた想像力などを評価して、この作品を選定しました。
審査委員長:山田 高嗣